ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

眠るように?(1)

 玄関から転落、頭を打った。

 早朝なのか深夜なのかなんとも言えないぐらいの時間のことだ。ソファでのうたた寝から覚め、寝室で本寝をしようと立ち上がった後。ぼくは玄関の方に進みはじめた。なぜなら階段が玄関ホールのところにあるから。なので、そこから180度ターン、階段を上るっていうのが正しい道だ。だけどぼくは直進してしまった。

 転落する瞬間は−っていうか、歩いてるところから−憶えてない。寝ているのと起きているのとの中間状態で、ちょうどそのあたりに差し掛かった瞬間が「寝ている」成分の方が大きかったのだろう。側頭部を三和土にたたきつけてしまい、その痛さで「起きている」成分が戻ってきた。そして口から出てきた第一声はこれだった。

  「何が起こったんだ?」

 加齢というのは、まあ新鮮な経験の連続だね。若い頃には思いもよらなかったようなさまざまなトラブルが襲いかかってくる。家の中で転んで頭打つなんて、誰が想像するだろうか。でもこれが現実なのだ。

 ただ、現実問題として、怖いのはその先だ。ベッドに上がるのは断念、ふたたびソファに戻ったんだけど、何しろ打ったのが頭だ。ぼくはこのまま目覚められないかもしれない。そう覚悟しないわけには行かなかったのだ。