眠るように?(2)
実はその日は最初からソファで寝てたわけじゃない。ベッドで寝ていて、早い時間に目が覚めてしまい、何か飲もうと降りていって、今でつけっぱなしのテレビを見始め、そのままソファに横たわってしまったっていう順番だ。
そもぞも、目覚めたきっかけが夢だった。それも、どうでもいいほどリアリティあふれる夢。
夢の中のぼくは現実と同じく専門学校の教師。そして、学生相手に面接指導をしている。見覚えのない暗い顔だが、それは本質ではない。この学生は、まともに会話すらできない。質問しても返事がなく、「それはこれこれこういうことなの?」型の質問をして、やっとぼそっと一語文での返事が返ってくるレベルだ。そんなやりとりを続け、イライラしながらあらためて書類を見ると、志望企業の欄に「hanako編集部」なんて書いてある。
「君、なんでここ志望なの?」
「はぁ……楽そうだし」
「ゲーム会社じゃないから?」
「……そう」
これでぼくはカチンときた。質問が質問のふりをした説教になり、やがて説教そのものになる。話しているうちにどんどん冷静さが失われ、興奮してくる。そしてついに興奮のあまり目が醒めてしまったのだ。
もし、頭を打ってそのまま死んでいたら、この夢が生涯最後に見た夢ってことになる。危ないところだった。