ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

登った、見た、下りた(5)

 火口底にはベンチがある。実際には、地元の小学生の遠足コースなんだとか。そこを横目で通り過ぎ、いよいよ登りが始まる。

 登る道は、ちょっと堪えるかも。かなり急な登りなんだけど、足元が登山用語でいう「ザレ場」ってやつで、細かな火山灰をざくざく踏み崩しながら歩いている感じになる。道は、一部の登山地図だとつづれ折りに書いてあったりするけど、実際には単純なZ字だ。ちなみに、地理院地図だと直登する道しか書いてない。これに対応する道は見当たらないし、もし歩いたら完全にアリジゴク状態になるだろうね。

 ルートとしては、やはり空いている。すれ違う人も、たまにって感じ。そして前を行く人も、はるか前のほうだ。ずっと砂ばかりの斜面があり、そのいちばん上の稜線沿いを、ガスった白い空をバックに登山者が一列になって上がっている。『デスノート』の最後の方で、ローブみたいなの着た人間が列になって坂を登ってる絵があるでしょ。ほんと、あんな感じ。ヨモツヒラサカってのは、きっとこんな感じなんだろうね。

 やがてぼくらも火口縁までよじ登る。ここから見る宝永山は、また雄大だ。バックはずっと雲海だったけどね。また、北側からガスが押し寄せていて、それが宝永馬の背のところで透明な空気とせめぎ合っていて、実にいい感じの風景。

 でも、いつまでも見ている訳にはいかない。馬の背をちょっと歩いたところで横にそれ、御殿場口下山道を少し登り、「プリンスルート」ってはっきり書いてある方向へ進む。お中道の一部らしい斜面を横切っていく道をどんどん進んでいくと、やがて御殿場口登山道に合流する。

 午後5時頃には山小屋に着いた。