ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

登った、見た、下りた(6)

 山小屋泊なんてのは、これもn十年ぶりの体験になる。そのときは富士宮口で、信じられない程の詰め込められ方をしたものだ。すぐ隣に他人の顔がある……なんてもんじゃないよ。あるのは足。頭と足を互い違いにしてみっちりと詰め込むわけだね。

 時代が違うからだろうか、それとも客の少ない御殿場ルートだからだろうか。与えられたスペースはかなり余裕だ。一人あたり1メートルぐらいはあるだろうか。しかも、二人組だったのだけど、三人分のスペースがもらえた。

 泊まってみると、山小屋というのは退屈な場所だ。早い夕食をとるととくにすることもなくて、Kindleで『剱岳−点の記−』読みながら寝っ転がってる内に寝付いてしまった。ただ所詮は「居眠り」程度だから、すぐ目覚めてしまう。仮眠レベルの睡眠を断続的にとっているうちに消灯時間を迎えたんだけど、これが本気の消灯で、漆黒の闇になってしまう。この状態でKindleを見ていると、かなり迷惑っぽい。

 午前2時頃、早出組が出発していく。山頂で御来光ってことなんだろう。実際にはすっかり目覚めていて(何しろ寝始めた時間は同じだからね)、このタイミングで行動しても良かったのだけど、元々そういうつもりで来てないから、準備がしていない。だいたい宿の人にも何も言っていないし)。全然眠くなくて大変だったんだけど、無理やり二度寝をして……実際には遮光に注意しつつKindleを読んで……朝を待った。トイレってことで外にも出た。雲はだいぶ切れていて、少なくともすぐ下の方なら夜景も見える。どの灯りがどの街なのかはよくわからないけど、御殿場なんだろう。自衛隊が演習でもしてたら、ヘリとか戦車とか見えそうだ。

 やがて点灯時間になる。外の空もぼんやりと明るい。御殿場ルートは基本的に東向きだから、どこからだって御来光が見えるんだね。この小屋の場合、窓からだって見られるけど、他にすることもなく、外に出ることにした。