ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

特殊能力でもオカルトでもなく(2)

 というわけで、今回のシリーズは速読の話だ。イメージ的にはどうにも「能力開発」系の怪しさを伴っていたんだけど、できるようになってみれば、特殊能力でもなければオカルトでもなかった。

 今回習得したのは、佐藤優さんが『読書の技法』で書いているやり方だ。本に関する本はけっこう多く、この本もそういうもののつもりで手にとった。そうしたら、ようやく自分でもできる速読術に出会えたわけだ。

 佐藤式速読術において根幹をなすのが「超速読」。これは1冊5分で読むというもの。

  ○まず序文の最初のページを読む。

  ○次に最後のまとめのページを読む。

  ○初めに戻り、5分で終われるペースで、

   ページをどんどんめくっていく

 佐藤式読書には、超速読(5分)、速読(30分)、熟読(延べ数時間)の3通りがある。後二者のどちらで読むか(または読まないか)を選択するためには結局超速読が必要で、だからこれが「根幹をなす」技術となるわけだ。

 「1冊を5分で読む」というというから、不可能なように思えてしまう。だけど、時間もページ数も物理量で、数量的に把握しなければいけない。秒1枚でページをめくれば、5分で300見開き=600ページ相当。実際にこんなにある本は多くないから、たいていの本は2秒前後でめくっていくということになるだろう。2秒に一回ページをめくること、これは困難ごとではない。そして、2秒も見ていれば、文字の群だって目に入る。どうでもよさそうなところは省略し、そうでないところに注目する。これを終わりの方まで続けていくわけだ。

 実際、ぼくたちは日常的にそれに近いレベルの文字情報処理を行っている。いい例が新聞だ。今グーグルで検索してみたところ、新聞の文字数は、最大179,000なんだとか。原稿用紙にして447枚分で、文庫・新書ならかなりぶ厚い方になるだろう。でも、たぶん10分はかけない。

 佐藤さんは、外交官出身だ。分析官は、仕事上読まなきゃいけない在外公館からのレポートだけで本数冊分にもなり、これを朝の1時間程度で消化しなきゃいけなくて、必要性から身につけたんだとか。なるほどね。もし念願通りジャック・ライアンになれてたら、ぼく自身がそういうことできなくちゃいけなかったわけだね。