ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

直球勝負、ゲームデザイン!(3)

 さて、元のテーマ「ゲームデザイナーにはどうやったらなれるのか」に戻ろう。

 これは、実はとても簡単に言い表すことができる。クリエイターの世界というのは、そもそもそんなに複雑じゃない。分野を問わず、ある原理に基づいて動いている。

  「作れる人には仕事がある

 例えば、絵が描ける人なら、イラストの仕事がある。小説の仕事があるのは、小説が書ける人だけだ。作れない人がどんなにコネをもっていようが、無駄。だから、クリエイターになるためには、対象となる創作ができるようになればいい。

 ただ、あたりまえだけど、お金になる仕事にありつくためには、単に作れるだけじゃだめだ。報酬がもらえるのはそれを払う人がいるから。人が対価を払ってもいいと思えるほどに希少性のあることができないと、お金は貰えない。

 そこで、第二原理も浮かび上がってくるわけだ。

  「いい仕事ができる人は稼げる

 以上の2原則が、ゲームクリエイターにもあてはまる。

 まず、作れないことにはクリエイターにはなれない。例えばプログラマ。「ぼくにはプログラム経験ないけどやりたいと思ってるし、その情熱は誰にも負けない!」って言ってるだけの小僧には、同人サークルだって仕事任せたりはしない。実際にプログラムが組めることは、最低要件だ。そして、同人なら仕事もらえる水準(例えばNscripterでノベルゲーム作るとか)になったとしても、報酬を受け取るにはまだまだ壁がある。ましてや生業といえるだけの収入を得ようと思ったら、やはりそのことが希少であるぐらいのレベルでできなければだめなのだ。「プロもUnity使ってる」が正しいにしても、「Unity使えればプロになれるんですよね」と言われたら、答えはノーだ。

 以上をあてはめると、次のようにまとめられる。

  「ゲームデザイナーになりたかったら、

   ゲームデザインができる人になればいい。

   でもプロになるのなら、

   希少であるレベルでそれができないとだめ

 ノートの余白に描いた落書きはマンガとは言わないし、プロットと設定をまとめただけのものは小説ではない。そして、頭の中で素晴らしいゲームを思いついているだけじゃ、「ゲームデザインができる人」ではない。