ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

選挙に向けて思うこと(5)

 そもそも、何のために選挙をするのか。直接的にはもちろん「議員を選ぶ」ということなんだけど、これは「なんで議員という職業の人たちが存在しなければならないのか」、というところに来る。

  理由1 民衆には、法律や予算の制定なんてできるはずがない。

   政治の専門家を選んで、やってもらわないと。

  理由2 全員参加による直接民主制が理想だが、

   何万人もの人が投票することなんて現実には不可能。

   次善の策として間接民主制(代議制)をとらざるをえない。

 中学公民でも高校政経でも、正解とされるのは2だろう。でも、テクノロジーが進歩し、実際に直接民主制が可能になってしまいつつある今では、そんな綺麗事で澄ましているわけにもいかない。1にこそ、代議制の真実がある。

  「なんでできないと決め付けるのだ!

   “民衆が愚かだ”とでもいいたいのかッ!」

 なんて批難が聞こえてきそうだ。ならば、次のように言い換えてみよう。

  理由1’ 民衆は自分のことで忙しいので、

   きめ細かな調整や事前調査を必要とする

   法律や予算の制定なんてやってられるわけない。

   フルタイムで取り組む人を選んで、やってもらわないと。

 多数決はなんだって決められる。だけど、決められるというだけで、最適化とは無縁だ。もし直接民主制なんて採用したら、たちどころに「税金ゼロ法案」が可決されてしまうだろう。後、原発即時廃止法案と、電気料金値上げ禁止法案が同時に可決とかね。

 最適な状態というのは決して現実化できないものだけど、それに少しでも近づけるためには、調整や調査を必要とするし、それにはフルタイムでそれにあたる人が必要になる。片手間でやるなんて、マンションの管理組合ですらなかなかうまくいかない。