ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(6)

 というわけで、読み書き、聞き話す、そういうスキル。そして、ガントチャートを描くということ。さしあたりはこういうことができないといけないわけだ。

 とはいえ、以上は第一階層にすぎない。「……を実現するためには何が必要か」の問いという形で、すぐ裏の階層がいつだって浮かび上がるからだ。

 ドキュメント作成に必要な力は、さしあたって文章力と(狭義の)デザイン力になる。これは、本を読んだり絵を鑑賞していたりすれば自然と身につくかというと、そうじゃない。実はどちらも論理性の裏付けがなければ、うまくはなれない。ものごとを抽象化して理解し、異なるものの類似性や相互関係を見抜いたりするということだ。

 対話については、直接的には滑舌や発声なんてことだけど、こんなのはさほど重要ではない(あまりに酷いのは困るから、酷さに自覚がある人は練習ぐらいはしておくべきだけど)。けっきょくこれは「共感する力」ということだろう。言葉というのは、情報伝達においては、実は限定的な役割しか果たしていない。これはノンバーバル・コミュニケーションだけの問題ではない。何を言っているのかをある程度予想できるから意味が通じるというところがあるわけで、そういうつもりで話を聞き、また相手が意味の予想をしやすいように工夫しながら言葉を紡ぐ、その努力が必要なのだ。

 そして、一方の力は他方にも活かされる。ディベートやプレゼンには論理性が重要だし、共感力のある人間が書いた文章や図版はわかりやすいのだ。