ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

一日にしてならぬもの(終)

 池澤夏樹さんの個人全集だけど、今は『日本文学全集』も、始まっている。これを機に続けてみようなんて気もないわけじゃない。ただ、前のシリーズについて、ひとつどうしても気に入らない点があり、それが新シリーズへの思いをスポイルしてる。

 それは、装丁の問題。日焼けしてしまうことだ。

 パステル系の鮮やかな色をプレーンに使ったシンプルで美しいデザインをしている。ところが、使っているインクがいけない。紫外線で退色してしまうのだ。直射日光の当たるとこに置いた結果とかなら仕方ないけど、ふつうに書店に並んでいる状態でそうなってしまうのだから、納得行かない。手にとって買って帰ってから帯を外すと、出ているところと隠れていたところで、色味がずいぶんちがってしまっている。ずらりと並べたい用途にとって、これは「商品としての欠陥」と言ってもいいだろう。“日本”の方でも、同じ欠陥が残っているかもと思うと、それだけで気乗りしないわけだ。

 思い出してみると、ときどき全集ものに手を出している。

 小学館の日本古典文学全集も買ったけど、万葉集までで終わりになった。今手元に置いてないからはっきりしないが、会社のサイトを見る限りでは第3回配本だったようだ。日付は1994年。20年以上も前なんだね。他、ヴァレリー全集が2巻だけある。古本屋でたたき売りしてたとき。「とりあえずテスト氏だけ抑えておけばいいか」と思って、それだけ買ったのだ。でも、翌日行ったら、他の巻も誰かが買ってて、歯抜けになってた。

 ともあれ、本棚は広く、本は多い。いかに秩序を与えるかという闘い、まだ始まったばかりだね。