ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

なぜ鳴くの?(4)

 なぜそうなのかわからないものとくると、もう一つ。

 都市部の釣り人にとっていちばんなじみの魚とくれば、ボラだろう。魚屋に並ぶような魚じゃないから(全く並ばないわけでもないんだけど)、釣り人以外にはあまり馴染みがないと思う。ただ、釣り人にとってはあきらかに招かれざる客。はっきりいって、ちっとも嬉しくない魚だ。

 そして、跳ねる。これがまたうっとうしい。釣れてないときにバシャバシャやられると、ほとんど馬鹿にされているような気がしてくる。

 そして跳ねるときの姿、これがイケてないのだ。イルカショーの、豪快にジャンプするところを想像してみてください。あれの対極にあるのが、ボラジャンプですよ。水中から飛び出す姿は、まるで丸太を放り投げるようなもの。そして丸太状のままで無造作に着水する。

 場に行くたびに思うのが、なぜボラが跳ねるのかということだった。

 どうにもわからない。ボラ以外何もいないような場所で、特に何かがあるわけでもなさそうなのに、ボラは跳ねる。成長したボラを襲えるような魚は港湾部にはいないから、外敵からの警戒ではないだろう。ではメスを惹きつけるためのデモンストレーションなのかというと、ボラはそんなところで繁殖しないので、関係ない。エサを追い込むのかというと、やつらの主食は海底の有機物泥(デトリタスといいます)なので、これも関係なし。なんの利得も思い当たらないわけで、ダーウィン流の解釈が難しいのだ。

 こういう、産業的にどうでもいい疑問というのは、誰も研究していない。グーグルで叩いても、ぼくが書いてるこれと同じような雑文が出てくるだけだ。