ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

昔は泣き喚いたものだけどね(3)

ファイル消滅に気づいたのは、職場PCだった。その時点で、持ち歩いてたノートPCも既に同期済みだった。最後の砦が、自宅マシン。帰宅後、すぐに無線LANルータのスイッチを切り、恐る恐る起動してみたのだ。 でも、実際には最新のファイルは戻らなくて、1ヶ月…

昔は泣き喚いたものだけどね(2)

クラウドサービスが登場する以前、ファイルの同期というのは、PC運用の一大テーマだった。 あの時代、多くのPCユーザーは、ノートPCとデスクトップ機の2台体制だった。パフォーマンス的には後者のほうがいいから、自宅ではそっちを使いたい。でも、そうなる…

昔は泣き喚いたものだけどね(1)

このブログのために作っている原稿用ファイルがある。 これは、まるで糠床のような代物だ。ブログにしたいことがあったら、ここに突っ込んでおく。一方で、脈絡もなく思いついたこととか気づいたこととかも、突っ込んでおく。やがて、そうした細かな断片を集…

未満な男一人旅

旅情を求めて乗った近鉄特急だけど、思ったよりも混んでいた。だいたい新幹線と同じくらいだろうか。男一人旅っていうよりは、ただの出張のように思えてしまう。 学園祭の翌日、秋の平日が一日ぽんっと休日になった。実際には年初のカレンダーでもきまってい…

デジタル板書はバッチ処理?

授業はライブだ。楽しいことは必要条件だけど、十分条件じゃない。オーディエンス=学生を興奮させなければならない。 例えば、発見の驚き。ゲームデザインについての「そうだったのかーっ!」経験をさせるということ。あるいは、問題自体への気付きとか。「…

特殊能力でもオカルトでもなく(終)

Kindleといえば、新型Kindle Fireの発売が発表されている。この速読にまつわるシリーズが予想以上に長くなってしまった結果、気づいたら「まもなく発売」になってしまっていた。 初期ロットにはあまり飛びつかないほうだけど、今回は違う。わざわざAmazonプ…

特殊能力でもオカルトでもなく(8)

でも、本の持つ優位性はそれだけだろうか。 ひとつには、それが有体物であるということ。知識は「本」という物理形態をとることで、実体化する。知識は情報で、それ自体所有できるものではない。でも本は所有の対象だ。フェティシズムの対象にもなり、地上に…

特殊能力でもオカルトでもなく(7)

さて、年代的に上の方の人間だと、「知識の基本=本」ということについて疑問はない。でも、学生たちの年代に対してこれを言うと、たちまち言い返されてしまう。なので、事前にその言い返しに言い返しておこう。 それは、インターネットは本の代用品にはなら…

特殊能力でもオカルトでもなく(6)

というわけで、速読から始まった今回の話題、いつの間にか読書論に近いものになっていた。それならそれで、総括してしまおう。 まず「読書」という行為において、こんな価値観がある。 重要なのは「噛みしめるようにして読む」ことである。 なぜなら、著者は…

特殊能力でもオカルトでもなく(5)

読書には、戦いとしての側面がある。当事者の一方は読者。そして他方は言うまでもなく、著者だ。別の言い方をすれば「批判的な読書」というやつで、知的な営みとして本を読む上では、欠かせない要素だと言っていいだろう。 まあ戦いと言っても、砂浜のビーチ…

特殊能力でもオカルトでもなく(4)

速読に過剰な期待を抱く人には、実は知っておかないといけない事実がある。「読む」と「内容を記憶する」は別問題ということだ。 読み終えた時点で得られているのは何か。実は「読み終わったという経験」だけだ。これはどんな読書でもそうで、速読だけの事情…

特殊能力でもオカルトでもなく(3)

思い出してみると、大学で最初に入ったゼミの先生が、こんなことを言っていた。 「まず序文を読んで、それから見出しをじっくりと見ること。 それが正しい専門書の読み方だよ」 佐藤式超速読術は、考えてみるとこの「見出しだけを読む」と同類のやり方だった…

特殊能力でもオカルトでもなく(2)

というわけで、今回のシリーズは速読の話だ。イメージ的にはどうにも「能力開発」系の怪しさを伴っていたんだけど、できるようになってみれば、特殊能力でもなければオカルトでもなかった。 今回習得したのは、佐藤優さんが『読書の技法』で書いているやり方…

特殊能力でもオカルトでもなく(1)

本さえ読んでいれば世の中がわかるなんて思ってるバカは、もう今の時代いないだろう。でも、本すら読んでいなければもっとだめって真実に気づいてないタワケは、けっこういるような気がする。 もちろん「世の中」というのはいろいろな側面の寄せ集めでもあっ…

登った、見た、下りた(8)

まあそんなわけで、登ってくることは達成したわけだ。そして長年の念願だった、宝永火口も満喫することができたし。でも、頂上からの風景は、またしてもおあずけだ。 さて、この残った宿題、どうしてくれようか。「登らないバカ、二度登るバカ」なんて言葉が…

登った、見た、下りた(7)

夜間にはすっきり地上まで見えていたけど、御来光タイムにはすっかり雲海になっていた。下から見たら、曇り空なんだろう。でも、その雲の上に、朝日は出てくる。ちょっと意地悪な雲が直前にかかってきたりしてイライラしたんだけど、無事見ることができた。…

登った、見た、下りた(6)

山小屋泊なんてのは、これもn十年ぶりの体験になる。そのときは富士宮口で、信じられない程の詰め込められ方をしたものだ。すぐ隣に他人の顔がある……なんてもんじゃないよ。あるのは足。頭と足を互い違いにしてみっちりと詰め込むわけだね。 時代が違うから…

登った、見た、下りた(5)

火口底にはベンチがある。実際には、地元の小学生の遠足コースなんだとか。そこを横目で通り過ぎ、いよいよ登りが始まる。 登る道は、ちょっと堪えるかも。かなり急な登りなんだけど、足元が登山用語でいう「ザレ場」ってやつで、細かな火山灰をざくざく踏み…

登った、見た、下りた(4)

富士登山自体がn十年ぶりだけど、実は宝永山への思いもn十年ぶりだったりする。 はじめてそれを意識したのは、最初に登ったときだった。6合目のところには「宝永遊歩道・お年寄りや小さなお子様でもだいじょうぶ」なんて書いてある看板があり、それを見て…

登った、見た、下りた(3)

駐車場に降り立ったとき、空は「雨ではないね」ぐらいだった。高度的にはたぶん2合目程度の場所で、既に気候は高原っぽい。でも、山はまだまだ上のほうだから、天候が違っていることへの期待はつながってる。そんな一縷の望みを持ちながらシャトルバスに乗…

登った、見た、下りた(2)

富士登山で、悩ましいのが行程だ。 昔と違って、今では一泊するのが常識……いや、良識かな、そういうことになっている。まあ平地での徹夜すらきつくなってる身だから泊まることには異論はないんだけど、登山行程のどこに持ってくるのかが悩みの種だ。あまりに…

登った、見た、下りた(1)

8月最後の週末を姑息に1日だけずらした28日(金)、富士山に登ってきた。 気が付くとまるっと一週間経っている。この間ブログ更新もなしだ。このあたりはなかなかめんどくさい心理に根ざしている。 富士登山なんて、n十年ぶり。また、ずっと前から準備してた…

パラレるッ!(1)

先日、『Parallels Desktop』を11にアップグレードした。 これは、Mac上で他のOSを使うためのソフト。カテゴリー的には「仮想マシン」ソフトとなるらしい(Wikipediaがそうしていた)。これをインストールすると、Mac上に仮想マシンが出現し、そこに他のOSを…

「語る」を語ろう、戦争(終)

新しいメディアというのは、タブーへの突破口になる。実際のところ、ぼくたち創作者がぶちあたる壁は、文化とか風習とかいった、目に見えない壁じゃない。はっきり言えば、人だ。編集者やプロデューサーがOKをくれないから、小説やドラマとして世に出ること…

「語る」を語ろう、戦争(4)

明治時代、立身出世をめざす少年たちの間で「綴り方」が流行ったのだという。今で言う「作文」だけど、ずいぶん様相が違う。というのも、文体ばかりか題材や描き方までも決まった内容から選択しなければならなかったからだ。「余、友人と梅花を見んと欲し、…

「語る」を語ろう、戦争(3)

母の戦争体験のクライマックス部分にあるのが、風船爆弾だった。 これは、気球に爆弾を着けてジェット気流にのせてアメリカ本土を爆撃するという、かなり苦し紛れの作戦だ。軍部も途中で嫌気が差したのか、正式な開発から手を引いていたのだが、熱心な技術士…

「語る」を語ろう、戦争(2)

戦争体験を直接聞く機会というのは、まあ今の子どもたちには難しいだろう。でもぼくが小学生だった頃というのは、戦争が終わってからまだそんなに経ってたわけではない。ファミコン登場から今現在までの年数よりも、それは短いのだ。というわけで、今では大…

「語る」を語ろう、戦争(1)

岩波ホールで「戦争レクイエム」という企画上映を行っている。黒木和雄監督の戦争を扱った映画4本を、連続して上映するというもの。キーワードは「日常の中の戦争」。描かれているのは戦場ではなく市民生活の方だという。 こういうテーマの設定は嫌いじゃな…

引きこもりシミュレータか?

たまにFacebookを読む。週あたり2・3回ってとこだろうか。自分は書かない。たまに書いても、知人の記事にコメントするだけだ。ユーザー登録そのものはわりと早くにしたほうだけど、何に使ったらいいのかわからなくて……っていうか、他の人が書いているよう…

イン・ザ・東横

男一人旅、なんていえばロマンがあるし、若干の侘びしさ成分も含まれているのだけど、ぼくは出張の類でしか、ほとんどしていない。今日もその例にもれず、出張目的で東京にいる。 今回ちょっと新鮮だったのは、お宿だ。あの『東横イン』。有名なチェーン店だ…