ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

全てはゲームへ導く

ピケティ買っちゃいました

トマ・ピケティ『21世紀の資本』を買った。 本を買う動機というのは、いろいろだ。純粋に「読みたい」というのもあるし、それを読んだことによって得られる知識とかが目当ての場合もある。 今回のはどうだろうか。義務感? それとも所有欲? 流行に煽られて…

ソトメシ十番勝負(終)

実際のところ、日本人のソウルフードは、ラーメンだと思う。そば屋以上に存在感を示しているのがラーメン屋だ。 だけど実は、ラーメン屋が好きじゃない。っていうか、ラーメン屋に行列作る文化が好きになれない。マスコミがいくつかの店を祭り上げると、それ…

ソトメシ十番勝負(9)

公平になるように、きしめんの話もしておかないといけないだろう。 名古屋の駅には、立ち食いそばがない。なので、都内の駅と同じようなつもりで移動していると、空きっ腹抱えることになる。一部の駅には例外的にあるけど、あくまでも例外だ。 ただ、JRの名…

ソトメシ十番勝負(8)

東京に出張に行くと、楽しみなものがある。ソバだ。 「名古屋だって蕎麦屋ぐらいあるぞ!」と言われそうだけど、前提になっている店のレベルが違う。ぼくにとってソバとは何より立ち食いそばでないといけない。「八っつあん・熊さんが、小腹が減った時に掻き…

ソトメシ十番勝負(7)

春から、中京競馬場の近くに住んでいる。ギャンブルは嗜まないのだけど、ちょくちょく競馬場に行く。馬が走っているのは美しいし、写真の題材としてもなかなかいい。中央競馬だから、建物とかも綺麗だしね。中にいるギャンブラーたちは、まあアレなんだが。…

ソトメシ十番勝負(6)

で、ケバブの話。 料理には視覚的要素がつきものだけど、ケバブのそれは格別だ。炙られている肉の塔があり、そこから削ぎ落とすようにして肉を取り分けてくれる。アイスといい、トルコの料理には、お客さんに何かを見せたいって要素があるのかも。 ともあれ…

ソトメシ十番勝負(5)

食事をエンターテインメントとしてとらえた場合、大きな問題点を共通で抱えている。おなかがいっぱいになったら終わり、ということだ。 この意味で、チーズナンは弱い。売られている単位が、大きいからだ。また、それ単品では頼みにくいということもある。イ…

ソトメシ十番勝負(4)

ナンとの出会いは、二子玉川にあった『モティ』というインド料理店でのことだ。ちょうどバブル真っ盛りの頃だったと思う。ショッピングセンターの一角にあるガーデン式の店だった。その頃は、はっきり言って「ナン」という名前すらよく知らなくて、最初のオ…

ソトメシ十番勝負(3)

ナンという食べ物は、それ自体悪くない。 まず、形状がなんともいえず楽しい。たいていの平面形は幾何学図形のどれかで言い表せるものだけど、ナンのは単純じゃない。丸と楕円と三角を合わせたような、とでもいうんだろうか。たとえを使うのなら、いちばん近…

ソトメシ十番勝負(2)

人生初のチーズ…なんてものを覚えてるわけないんだが、まあ物心ついた頃からチーズというのはあり、当然のように、塩辛くて冷たいものだった。円弧形だったり、棒状だったり、消しゴム型だったりとやたらと形はあるものの、味的にはどれも大差なく、「ま、チ…

ソトメシ十番勝負(1)

ぼくはあまり外食をしない方だ。勤務先での昼ごはんもお弁当持参で、休日に昼をまたいだ外出をするとき程度。料理というのは文化的作品で、ソトメシはそれを“鑑賞”する場。そう考えると、これも経験獲得の貴重な機会だ。だけど何か気に入ったものがあると、…

BCR、ウィーラブユー!(終)

シリーズ最後の話は、ベイシティ・ローラーズに戻ってみよう。 結局、ぼくはベイシティ・ローラーズ的なあり方が、好きだったんだと思う。歌い上げる世界には深みはないかもしれないし、社会的・政治的なメッセージ性も皆無だ。だけど、それと価値の有無とは…

BCR、ウィーラブユー!(7)

先述のように、ぼくにとって最終的に残ったのは、クイーンだ。保有CDということでも、コンプリートまであと3枚と迫っている。 こうなったのは、FMで聴いた『フェリーフェラーの神技』がきっかけだ。アルバムでいえば『Queen2』。A/B面と言わずして、ホワイ…

BCR、ウィーラブユー!(6)

挿話ばかりが長くなってしまった。 iTuneストアで発見してからどうしたか。つまらない時代とはいうものの、便利な時代とも言える。とりあえず試聴してみた。 だけど、聴いてみると、どうも違う。記憶に刻み込まれているレスリーの歌声と、違っているのだ。そ…

BCR、ウィーラブユー!(5)

ホウキ持ってエアギターっていう構図は、『20世紀少年』のケンヂ君と同じだ。でも、大きく違う点がある。ぼくたちは、純粋に楽しみだけでやってたってことだ。ケンヂ君の場合は、学校当局ひいては社会全体に対する反抗という要素がある。 このことは、ほんの…

BCR、ウィーラブユー!(4)

書いてから、時制がちょっと混乱してることに気づいた。レイジーの登場はベイシティ・ローラーズに重なるけど、ファイヤーやスロッグはその後だね。レイジーの成功を前に、実際にバンドやってる連中を事務所が掘り出してデビューさせたとか、そんな感じがす…

BCR、ウィーラブユー!(3)

あの頃の日本の芸能界には、海外で何かがウケると、すぐその日本版を作りたがる傾向があった。前に指摘したような準中華思想じゃなくって、単に手っ取り早く儲けるための知恵だ。 ベイシティ・ローラーズのときも、もちろん「和製」が作られた。その名も「レ…

BCR、ウィーラブユー!(2)

ベイシティ・ローラーズの代表曲といえば、先述のとおり『サタデーナイト』。歌自体が今でもCMソングなんかで現役だ。あのおかげでサタデーの綴りを間違えずに済むのは、今の中学生だって同じだろう。そしてぼくはとえいば、あのへんの歌が新譜だった頃に中…

BCR、ウィーラブユー!(1)

突然、ベイシティ・ローラーズが聴きたくなった。 こんな名前を挙げても、分かる人は同年代限定だろう。でも、曲で言えばたぶんほとんどの日本人が知っている。代表作は、サタデーナイト。S,A,TUR,DAY……なんて歌いだしの、ノリのいい曲だ。 「聴きたいッ!」…

『響』はもっとうまいよ(終)

つい話を大きくしてしまった。 今回のシリーズも前回同様、毎日新しい分を書いている。手元の“着想ノート”には、あれこれと展開していくためのネタが走り書きしてあるんだけど、「中華思想」から「マーケティング」に至るまで、いろんなことが書き連ねられて…

『響』はもっとうまいよ(3)

日本人が何でも「国産」を作りたがる理由、それは江戸時代以来の伝統的世界観に根ざしているんじゃないだろうかと、ぼくは見る。 具体的には、「日本」と「世界」を対置したがるということだ。いうまでもなく、世界には日本も含まれている。なのに、そのよう…

『響』はもっとうまいよ(2)

日本人がなぜウィスキーを作るんだろうか。 まあ、サントリーが最初の国産ウィスキーを出したのが昭和一桁の頃だから、現代人のほぼ全員にとって「物心ついた時からそうだった」状態ってことで、いまさら「なぜ」もないものだ。ただ、改めて考えると、そんな…

『響』はもっとうまいよ(1)

先日相次いで報道されたことだけど、英国のウィスキーガイド本で、サントリーの『山崎』がナンバーワンに選ばれた。 物書きはものごとをハスに構えて考えるのが仕事だし、ソフト屋は世界を数理的に理解するのが仕事だ。ぼくは両要素を兼ね備えている企画のゲ…

ヒグラシよりもホラー

あれこれ書いてるうちに、もう8月も下旬になってしまった。いよいよセミの声が、ツクツクボウシに代わってくる。小中学生なら、宿題に向けての最後の号砲ってところだろう。 アニメとかドラマとか、セミの効果音とくれば、ミンミンゼミってことになってる。…

ハードにライトな物語(7)

と、ライトノベルの「希望と不安」を書いてみたけど、ほんとうはそんなに心配しているわけじゃない。むしろどう変わっていくのかが楽しみなくらいだ。 実は、ライトノベル的なものの歴史は、とてつもなく古い。 ぼくたちの年代が少年だった頃、集英社コバル…

ハードにライトな物語(6)

最近はあまり聞かないけど、「ドッグイヤー」なんて言葉がある。IT産業の分野で使われ始めた言葉で、生まれて1年で“おとな”になり、2年目から数年は稼ぐけどやがて衰退期に入り、10年を越したあたりで消滅……なんて業界の標準的なライフサイクルを、犬の人生…

ハードにライトな物語(5)

一方で、不安もある。どうも「収穫の時代」が終わってしまっているのではないかということだ。 直接的には、様式化が感じられるということ。こういうキャラクターがこういう舞台でこういう筋書きの物語を演じる、そしてヒットしたら続編がずっと続けられるよ…

ハードにライトな物語(4)

一回目にも書いたように、今取り組んでいるのはミステリーじゃなくて、ライトノベルだ。過去10年分の『このラノ』ランカー(15位以上)と、ラノベ関連の文学賞の入選作とをリスト化、機会をみては買い足している。今のところ、手元に抑えたのは30冊くらいで…

ハードにライトな物語(3)

「とかれる」には「解かれる」以外に「説かれる」もある。これも含めて「とかれるべき謎」ということを考えると、実はほとんどの小説に共通な仕掛けであるとも言える。メロスは間に合うのか。アントニオは1ポンドの肉を差し出さなければならないのか。坊っ…

ハードにライトな物語(2)

ミステリーという分野は幅が広い。 「刑事事件かそれっぽいことが起き、それを中心にして話が進む」 これさえ抑えておけば、後はお好きなように。歴史や哲学を論じてもいいし、ワインや紅茶のうんちくを傾けたり温泉めぐりをしたりもOKだ。 ただ、そこにはル…